シミュレーテッドリアリティ

トップページでこの台本の縦書きPDFをダウンロード

シミュレーテッドリアリティ
- 副題 複製世界の見分け方
第二稿
- 脚本 音虎

- 登場人物

- 男 別の世界に召喚され、その世界を救った。
- 魔王 セリフ一個だけ。
- 女神 男を召喚した。
- エミ 男の幼なじみ。

- 概要
女神に召喚された男が、世界の危機を救い、自分の世界に帰る。

- 更新履歴
-第二稿 魔王を倒すシーンを頭に追加。

*最後の一撃
男 「これで終わりだ!! (切りつける)」
魔王 「グワアァァァァァァ!! 貴様! 世界の真実を知らなくていいのかぁ!? 後悔するぞ……(息絶える)」
男 「興味無い。あいにく俺はこの世界の人間じゃないんでね。じゃぁな……いや、『いただきます!』だ!」

*異世界
女神 「この世界を救ってくれてありがとう。元の世界に帰してあげるわ」
SE 男を元の世界に戻す魔法。鳴り続ける。
男 「そうしてくれ。全ての挨拶が『いただきます』だなんて、頭がおかしくなりそうだ。俺食べられちゃうのかよ」
女神 「複製世界はオリジナルと見分けるために、些細なエラーが組み込まれているの。だけど、そこの住人にはそれが当たり前だから、世界が偽物だと気付いて嘆くこともないのよ」
男 「言葉の意味を考えたらすぐに変だって気付くだろ。この世界の奴らって『世の中は間違っていて、自分こそが思慮深い常識人』って面しながら、身近な問題には気付きもしない。残念な奴らだな」
女神 「……そうね……それじゃ、いただきます……いえ、あなたの世界では『さようなら』だったわね……」
SE 男、自分の世界に帰る。

*元の世界
エミ 「ノリ君。おーい。ご飯食べながら寝るなー」
男 「……あ。……エミ」
エミ 「『おはよー!』」
男 「!!」
エミ 「――意識がお出かけしてたよ」
男 「――ああ。はは……異世界を救ってた」
エミ 「あは。何それ? おー。いい香りですなー」
男 「毎朝食いに来やがって。たまにはお前が作れよなー」
エミ 「いいじゃん。ノリ君の料理の方がおいしいよー。『いただきます!』」
男 「(ビクッ)」
エミ 「え、何」
男 「……なんでもない……」
エミ 「今日は納豆に豆腐かー。大豆ばっかりだね」
男 「……!」
エミ 「はいはい。文句は言いません。ありがたくいただきます」
男 「……なあ、エミは、この世界が、ゲームのように誰かに作られた世界だなんて言ったらどう思う?」
エミ 「あー。シミュレーテッドリアリティってやつだよね? 私は信じないなー」
男 「……なあ、豆が腐るって書いて豆腐だよな」
エミ 「は?」
男 「箱に納めた豆って書いて納豆だよな!」
エミ 「そ、そうだね」
男 「……逆じゃね?」
エミ 「え?」
男 「だから、言葉と物の意味があべこべだろ」
女神 (コピー、エフェクト)「複製世界はオリジナルと見分けるために、些細なエラーが組み込まれているの」
エミ 「でもそういう名前なんだから、そういうものなんでしょ」
女神 (コピー、エフェクト)「だけど、そこの住人にはそれが当たり前だから、世界が偽物だと気付いて嘆くこともないのよ」
男 「この世界は……」

トップページでこの台本の縦書きPDFをダウンロード

Copyright(C) 音虎